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1920年代のハワイと日本人:日本語学校をめぐる裁判と奥村多喜衛先生

【12月12日開催】1920年代のハワイでは、外国語学校に対する規制が強化されました。これは、実質的には日本語学校への規制がねらいであったと言っても良いでしょう。1920年〜30年という時代は、日本人移民とその子孫が、ハワイの全人口の4割前後を占めるようになっていました。大勢力となった日本人が、なかなか同化せず、むしろ独自のコミュニティを形成していることへの警戒感が生じました。日本語学校への規制は、その日本人たちの結集の核となっていると映った日本語学校に規制を加え、よりハワイ、ないしアメリカに同化させようというねらいがあったのだといえます。
より支配的な立場にある者が「他者」を同化させる、というのは、さまざまな意味で暴力的な意味合いを持ってしまいかねないことです。しかし、ハワイで生きる1920年代の日本人は、自らのアイデンティティや文化を保とうとする一方で、ハワイの社会に何らかの形で順応していくことが、生き延びる戦略としても必要になります。このように「同化」は、どちらの立場から見ても、そう簡単な問題ではありません。
奥村多喜衛は、日本人移民がハワイ、ないしはアメリカに、より積極的に「同化」する方向で、発言を行い、活動を展開しました。そして、これまで、ハワイにおける日本語学校の歴史のなかで、実はこの奥村のことが忘れられがちでした。その理由は、おそらく、日本語学校の主流は、準州政府による規制に反対し、裁判を起こし、そしてその規制が憲法違反であるとの判決を勝ち取ったことへの自負があり、それが歴史叙述にも影を落としたのだと考えられます。
しかし、今、アメリカでも日本でも、この「同化」に関わって、看過できない発言、動きが起こっており、思想的にも危うい状態を迎えているように思います。今を考えるための手がかりを探すためにも、一度、歴史に立ち返り、今までとは違う角度でこれを見直してみたいと思います。
原山浩介
京都大学大学院農学研究科【教授】Ph.D
■2005〜2021 国立歴史民俗博物館
(2019年に企画展示「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」展示代表)
■2021〜2025 日本大学法学部
■2025〜 京都大学農学研究科
プロフィール
元々、現代史の研究をしてきました。その中で、「移民」という題材と、ハワイという場所に取り憑かれ、2015年〜16年にかけて資料調査のため5ヶ月ほど滞在し、2019年には勤務先の国立歴史民俗博物館でハワイの移民史についての企画展示「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」を開催しました。
今、ハワイ大学で開催されている日本語教科書の展示に関わっています。奥村先生が関わって作られた日本語教科書も取り上げています。私自身は、ハワイの労働問題や社会運動の歴史について研究をしたいのですが、膨大な資料を撮影したまま、なかなか時間を作ることができません。なんとか時間を作って、取り組みたいと思っています。
セミナー・スケジュール
11:00 am
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